近接性 (漸近論)

$P_n, \, Q_n$ を可測空間列 $(\Omega_n, \, \mathcal{A}_n)$ 上の確率測度列とする。任意の可測集合列 $A_n$ について $P_n(A_n) \to 0$ ならば $Q_n(A_n) \to 0$ であるとき、$Q_n$ は $P_n$ に関して近接している (漸近的に絶対連続である) といい、$Q_n \triangleleft P_n$ と表記する。

参考文献

  1. A. W. van der Vaart. Asymptotic Statistics. Cambridge University Press, 2000.

雑記

P 国では天気が晴れか曇りか雨のいずれかになるとする。Q 国では天気が曇りか雨のいずれかになるとする。このとき、各国がどのような天気になるかの確率測度を $P, \, Q$ とすると、$Q$ は $P$ に関して絶対連続 ($Q \ll P$) である。もし Q 国では雪になることもあったならば、$Q \ll P$ にはならない。

$Q \ll P$ のときは、P 国の人が Q 国に旅行に来て未知の天気を体験することはない。Q 国のどんな天気に対しても「この国では曇りが私の国より2倍多い」と、自国との起こりやすさの比 (尤度比) を出力することができる。ので、$H_0:$ この国での各天気の起こりやすさは私の国と同じである、$H_1:$ この国での各天気の起こりやすさは私の国とは違う、という仮説検定問題に対して尤度比検定をすることができる。

ここで、P 国では実は年々曇りになることが減っており、将来は曇りになる確率が 0 に収束するとする。このとき、Q 国でも年々曇りになることが減っており曇りになる確率が 0 に収束するならば、$Q_n \triangleleft P_n$ になる。

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